死に安息を求むるは万人の願い。
生きて晒した醜さを忘れ、汚れ古びた衣を脱ぎ捨てるが如く。
それが、朽木の箱に閉じ込められた迷い子の望み。
雨にうたれる犬がいる。
火の浮き漂える器の縁で低く唸る。
犬は箱の開かぬを見張り、這い出た者に呼びかける。
「お前は寒さに胸を患い、咳が止まらず、
ささくれる岩肌に血を流す。
弔う者は去った。
今はもう、お前の姿を、
刺し貫くように見つめる者しかいない。
彼は独りでやってくる。 彼の懐は、この雨よりも冷たい。
だから、もう呪われてしまえ。
さあ、時間が来た。
眼を閉じろ。
彼の姿を見てはならない」 |
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